主力品種に期待 サクランボ新品種「アルプス紅扇」(19.6.4)
西野支所管内で生まれたサクランボの新品種「アルプス紅扇(べにおうぎ)」が収穫時期を迎え、6月4日、全農やまなしとJA職員が生育確認を行いました。
着色、食味などいずれも良好で、将来山梨県のサクランボの主力となるよう期待されている品種です。
同品種の生みの親である手塚良紀さん(64)は「味が良く、2Lから3Lの大粒が多く収穫出来て、市場などでも期待されていると聞いている。これからが楽しみ」と話します。
同品種は「紅秀峰」の芽条変異種で、収穫が7~10日ほど早い早生品種となり、「紅秀峰」と同等の優れた品種特長を持ちます。
「アルプス紅扇」という名前は南アルプス市が国内最大級の御勅使川(みだいがわ)扇状地の上にあることから名付けられました。
2017年7月10日に品種登録出願が公開され、今年1月には山梨県オリジナル品種に位置づけられています。
山梨県はサクランボ生産の南限と言われており、日本一早い収穫時期を迎えることを活かして産地化を進めてきました。
一方で近年の温暖化などの影響を受け、うるみ果の発生や着色不良などが課題となっています。
同品種は多品種と比べると実が固めでうるみ果になりにくく、着色、玉張りが良好などの特徴があります。
それに加え、酸味が少なく糖度が高い、大粒で日持ちが良いなど消費者需要にマッチした品種とも言われ、課題の解消、ブランド化へ向けて期待されています。
現在はJA全農やまなしが同品種の専用利用権を取得、山梨県内の栽培者に限り苗木の供給を行っており、JAは今年2月に1325本の苗木を供給しました。
サクランボは出荷までに3~4年を要するため、今後山梨県オリジナル品種ブランド化推進会議にて出荷規格などについて検討していきます。
生育確認を行ったJA営農指導課手塚英男課長は「ここ数年の温暖化により、サクランボが作りにくくなって来ている。品質的にも現在の温暖化に対応出来る品種として、増殖を勧めたい」と期待を込めました。