アメリカ産スモモの現地調査 県が生産者に向け報告会(22.12.26)
令和3年8月に施行された、米国産の生鮮スモモ解禁に関する植物防疫法施行規則の一部改正から1年4か月経ちました。
施行後まもなく国内の大型商業施設で販売が始まり、令和4年11月までで計401tの米国産スモモが流通しています。
また、令和4年2月には米国から桃の輸入解禁要請も行われており、スモモ、桃の主要産地である当JAは、安い果実の輸入による価格低下や、競合により供給量が下がる事を不安視しています。
これに対し山梨県は令和4年、米国産スモモと桃の現地調査を行いました。
12月26日、直売所会議室にて、その結果報告と今後の対応方針を生産者に向け発表しました。
調査は令和4年7月~11月にかけて3回行われ、米国産スモモのほとんどを生産しているカリフォルニア州の農園、販売店を回り、栽培されている果実のべ60品種の栽培方法や食味の調査や、果樹生産者団体との意見交換を行いました。
農園調査で県担当者は、大規模な農園では4,000ヘクタール以上という広大な土地に整然と植栽し機械化・省力化が進み、効率重視で生産コストが抑えられている一方、摘果がほとんど行われておらず小玉傾向にあり、収穫もほぼ一斉に行うため熟度など品質にバラつきが見られるとしました。
特に輸出など遠隔地向けにはやや早めに収穫するため、その傾向が出やすい状況だったという事です。
また販売店調査では、米国の特徴として果実を切り分けて食べる事が少なく丸かじりする食習慣のため、桃などは小玉の果実が多く、贈答用の販売は見かけなかったと話しました。
2回目の現地調査に同行した当JA営農指導部手塚英男次長は「果実の見た目、食味共に県産スモモとは大きく差があると感じた。剪定など栽培方法、食文化も含めてこちらとは全く異なり、それが必要とされる果実品質の違いに表れている」と語りました。
県担当者は、生産者自身は大玉生産の必要性を認識しているため、今後日本向けに高品質の果実を厳選したり、円安等の収束により安価になったりした場合、県産スモモ・桃と競合する恐れがあると言葉を強めました。
その上で県は、今後は生産・流通・販売の3つのプロセスの高度化対策を行うとの方針を示しました。
具体的には、生産面では大玉・着色・食味に優れた優良品種への改植や新品種の開発、流通面では鮮度や品質管理を徹底した輸送体制の整備、販売面では輸入果実との差別化を図るためのプロモーション強化といった例を挙げました。
報告会に参加した生産者からは「日本の消費者に向けアンケート調査はしているか」などの質問が挙がりました。
手塚次長は「全農やまなしと協力し、JA職員間で7回食味調査を行っており、結果をまとめている」と返答しました。