JA独自に積算温度計を試験導入(H30.11.8)
JA南アルプス市は11月8日、ハウスサクランボの加温時期を決める「低温遭遇積算温度計」をJA独自で試験導入しました。4月から稼働している「果樹盗難抑止センサー」の技術を応用するもので、より正確なデータを生産者に提供し所得向上に役立てたい考えです。
「低温遭遇積算温度計」はサクランボの木が自発休眠に入る気温である7.2度を下回った時間を積算するもので、ハウスの加温開始の目安となる積算時間を明確に知ることが出来ます。
また、シアナミド剤の散布適期の把握にも有効利用出来るほか、ハウス栽培のブドウにも応用が可能となります。
ハウスサクランボ農家にとって加温開始のタイミングは生育を大きく左右するため、正確な積算時間の把握は品質向上、安定生産を行う上で重要な情報となります。
現在は甲府地方気象台と山梨市の山梨県果樹試験場からデータを取得し生産者にメールや放送で周知しています。
しかしいずれも直線距離で10~25㎞程度離れており、標高も違うため天候や気温に相違があり、より正確なデータが求められています。
温度計を活用すれば南アルプス市の正確なデータが得られることになります。
温度計は当JAが運用する「果樹盗難抑止センサー」の機器に付属し機能を連携させます。これによりクラウドを利用した観測データの管理が可能となり、蓄積したデータをもとに開花時期を予測することも期待出来ます。
またこれらのデータはスマートフォンで確認することも検討しています。
将来的には生産者自身がハウスに設置し管理することも考えていますが、機器が高額であることや常時設置することのランニングコストなどの課題があるため、現段階では当JAが管内に機器を数台設置し、当JAと開発を担当した富士通が管理していくことを目指し試験を行います。
小池通義組合長は「南アルプス市の積算時間を知ることが出来れば、農家も作業の計画を立てやすくなる。今後導入となれば、ハウス栽培だけでなく露地栽培の果樹農家にも活用出来る」と期待を寄せます。
この日西野支所職員駐車場に当JA職員と同社担当者が機器を設置しました。試験設置期間は1年間で、今度本格的な導入を視野に実証試験を重ねていきます。